サラリーマン時代

人生で最初の転職~人の裏の顔やそれぞれの立場を知りました~

私のサラリーマン生活は、目隠し&指差しから始まりました。

最初に就職した会社がバブルのあおりを受け解雇という憂き目にあう。会社とは…、雇われるとは…ということを、最初の就職先で学びました。安易な方法で決めた就職先ですが、ノマド生活につながる重要なことがからだにインプットされたような気がします。その大切なことを共有できれば幸いです。...

最初に就職した会社は、バブル崩壊のあおりを受け解雇となるわけですが、その会社で経理を担当していたおじさんの紹介もあって、すんなり転職ができました。

当時、パソコンのプログラムを読むことができるということやパソコンソフトを使えるということなど… パソコンと言えば、なんでも同じに考えられていました。

私は、パソコンができるという理由から、パソコンソフトの仕入れ(商品部)に配属されました。パソコンソフトを仕入れる部署なのに、商品の注文は手書きの注文書をファックスで送るという、なんともアナログな会社でした。

この会社にいるころ、Apple ClassicやWindows3.1が発売され、ソフトウェアもフロッピーディスクからCD-ROMに変化を遂げていきました。
MS-DOSの時代から急激にITが開花する最も華やかな時期を、その中の環境から見届けることができたことは、とても嬉し事でした。

人の裏の顔とそれぞれの立場

この会社では、いろいろなことを学ばせてもらいました。
ひとつの商品に対してそれぞれの立場があるということを、私は理解しました。
また、人には表の顔と裏の顔があることも、後日、知ることができました。

商品を通して全ての立場を経験

この会社に転職して、最初に就いた業務は商品の仕入れ(商品部)です。
メーカーや問屋から商品を安く購入することがメインの仕事となります。

この業務のお陰で、たくさんのメーカーや問屋の営業の方々と知り合いになれました。
そして、それぞれの立場を理解することができました。

いろいろなメーカーの商品を扱っている問屋と自社製品のみのメーカーとでは、商品に対する思い入れが違うことも勉強させてもらいました。

どちらも「商品を売りたい!」という気持ちの方向は同じでも、その置かれた立場から微妙な違いがあることを学びました。

商品部から経理を経て、店舗での修理窓口担当…と、仕事内容が変わりました。
修理窓口では、お客様と直接やり取りをして、修理品をメーカーに引き渡したり、修理完了品をお客様にお渡しするということをメインで行っていました。

商品といっても、メーカーから見る立場、問屋から見る立場、店舗から見る立場があることに気が付きました。
そして、私自身が消費者なので、お客から見る立場をあわせると、ひとつの商品を通した全ての立場を理解することができるようになりました。
※転職を繰り返し「立場の理解」は「立場を経験する」に変化していきます。

それぞれの人の立場を考えるという思考の土台は、恐らく、この時に形成されたのだと思います。

悪いやつがいた会社

私は体育会系のノリが大嫌いです。一番嫌いなのは「団体行動」です。

この会社は、朝のラジオ体操、全体朝礼、社員旅行といった「結束」をするための儀式が目白押しでした。時には、取引先の運動会にも参加しなければなりませんでした。

社員旅行や慰安旅行は自由参加であったため、すべてにおいて参加はしませんでした。
けれども、そういうイベントへの不参加は、会社の士気を下げる人物というレッテルを貼られてしまうことになりました。

当時、どこの会社もそんな風潮でした。

他部署の社員や上司からは、仕事のできないやつという視線をもらっていました。
けれども、本当は、仕事ができないとかではなく「群れない」ことに対する「嫉妬」や「妬み」の視線だったのだと思います。

そうやって仲間はずれにされていく辛さに対して、私の心は、ドンドン強くなっていきました。たくましくなった私の心は、次のステージを求めて動き始めます。
嫌なら仕事を変えるということ、そして、そのことは悪いことではないと気が付き始めました。

それは、2度目の転職へと繋がっていきます。

私がこの会社を去り、約2年後… この会社は倒産をしてしまいます。

昔の同僚から聞いた話では、会社の商品を知り合いの店舗に無料で納品し、店舗が売り上げたその商品の売上金のうち何%かをバックマージンで受け取っていたそうです。
会社の損害は約8千万円にもなったそうで、その主犯格は、私を冷たい視線で見ていたあの課長と社員でした。

弱いやつらが「群れ」を作り、群れにより「強さ」が生まれると、一人じゃないという勘違いの安心が生まれ、その安心は、自分が何をやっても仲間が守ってくれるという意識を生みだしたのかもしれません。
この会社の「群れ」は、こうしたとんでもないことを起こしてしまいました。

ひたひたと秋葉原にも迫ってきていたバブル崩壊の波は、この一件が引き金となり、あっという間にこの会社をのみ込んでしまいました。

まとめ ~この会社で得たもの~

  • 徒党を組まずに仕事を遂行するという強い心
  • 参加したくない会社のイベントには参加しないという態度
  • 商品を通したそれぞれの立場のものの考え方を知る能力
  • 自分から行動してステージを変えるという行動力

『ノマド生活』において必要なものばかりを得られたような気がします。

徒党を組まずに一人で生きようとする考え方は、会社に頼らないで収入を得ようとする考え方に通じますし、参加したくないイベントには参加しないという態度は、楽しいことしかしないという態度に通じます。

それぞれの立場を推測するという能力は、私が作品を作るときのストーリー作りや作品を販売する時などに役立っていますし、自分から行動してステージを変えていくという行動力は、これがダメなら次はこれをするという行動力につながっています。

振り返ると、私は無駄のない経験をさせて頂いていると思います。
当時の自分には、こうした経験がこんな風に将来の自分の『ノマド生活』につながってくることなど、皆目見当もつきませんでした。

『ノマド生活』を始めてみると、いつもどこかでこういう生活に憧れていたような気がします。そして、そうやって、いつも頭に描いていたからこそ、当時は意識をしていなくても、そのための貴重な経験をこの会社でさせてもらったのかもしれません。